日本のZ世代が輝くテレワークのあり方とは?
※本記事は2022年10月に執筆し、株式会社イマクリエの会社ホームページに掲載していた記事をnoteに移管しています。
前回の記事では、アメリカのZ世代がテレワークで抱える矛盾についてご紹介しました。
これは決してアメリカに限った話ではなく、日本を含めた世界共通のジレンマではないでしょうか?
そこで今回の記事では、これから社会の主役となっていくZ世代人材の獲得と定着のために、日本企業が知っておくべきことをまとめました。改めてアフターコロナの社員の働き方を考えるヒントになると思いますので、どうぞ最後までお読みください。
日本のZ世代にとって、テレワークは不可欠
Z世代とは
1990年半ばから2010年はじめに生まれた世代で、2022年時点では、ティーンネイジャーから25歳になっている
2022年時点で10代~20代半ばの若者で、生まれたときからインターネットがあった時代を生きてきたため「デジタルネイティブ」とも呼ばれる
日本では、令和のはじまりとともに社会人になった世代でもある
株式会社日本能率協会マネジメントセンターが、2020~2021年に入社した新入社員1,020人に行ったインターネット調査「イマドキ新入社員の仕事に対する意識調査」によるとZ世代である新入社員は、働く場所のフレキシビリティを重視していることが伺えます。
一方で、上司や同僚と対面で働くことやチームワークの重要性を訴え、出社を希望する考えも明らかになっており、「テレワーク」と「出社」を組み合わせたハイブリッドワークを求めていることが分かります。
もうひとつ、産業能率大学が、2022年の新卒社員を対象に行った調査会社生活調査も見てみましょう。
85%がテレワーク制度を利用したいと答えていますが、その理由として、コロナ禍ならではの「通勤電車の『密』を避けられるから」に加えて、「時間が有効に使えるから」、「自分のペースで仕事ができるから」と、効率を重視するZ世代らしい回答が見受けられます。
一方、テレワークをしたくないと答えた15%の回答者によると、テレワークを望まない理由は、「仕事上の質問や確認がしにくい」、「上司や先輩、同僚などと親しく接することができない」など、遠隔でのコミュニケーションの難しさを訴えており、ここでもやはり上司や同僚と対面で一緒に働く機会を求めている姿が見てとれます。
2つの調査結果に共通して言えることは、コロナ禍に社会人となったZ世代は、ハイブリッドワークでテレワークの恩恵は受けつつも、出社して上司・先輩・同僚と一緒に対面で働く機会を持ちたいと考えているということです。
これは、前回の記事でご紹介したアメリカのZ世代と同じ傾向と言えます。
次の社会の主役「Z世代」が輝くテレワークのポイントは?
これからZ世代がどんどん社会に出ていく中で、企業がハイブリッドワークをうまく活用していくためには、Z世代の特徴をよく理解した上で、組織・制度・運用の仕組みを再構築していくことが重要です。ここでは、3つのポイントを紹介します。
1.上司や先輩、同僚からスピーディーかつ適切なフィードバックがもらえる環境
Z世代は若い頃からSNSを利用して育った「ソーシャルネイティブ」でもあります。自分がやったこと、好きなこと、面白いと感じることなどを共有したいと考えてる傾向があり、実際にSNSで発信している人も多くいます。
SNSでは、発信した内容に対してすぐさまコメントやいいねといった反応が返ってくることに慣れているので、概してZ世代の自己承認欲求は、他の世代と比較して高いと言えるでしょう。
彼らは職場でも自分の意見が受け入れられるかどうかや、自分の仕事が評価されているかをとても気にします。また、ちょっとした指摘や注意でも、思っている以上に落ち込むことがあるかもしれませんので、適切なフィードバックをもらえる仕組み作りは重要です。
先にご紹介した株式会社日本能率協会マネジメントセンターの「イマドキ新入社員の仕事に対する意識調査」では、Z世代の承認欲求や、打たれ弱さなどの特徴が垣間見える結果も報告されています。(以下、「イマドキ新入社員の仕事に対する意識調査」を一部抜粋)
2.ハイブリッドワークでも有効な新しいオン・ザ・ジョブ・トレーニング(OJT)や先輩からのメンターシップ
Z世代はこれまでのテレワーク勤務の中で、上司や先輩から指導やトレーニングを受ける機会が不足していると感じています。
ハイブリッドワークの難しさは、オフィスに出社した日に、必ずしも会いたい人が同じように出社しているとは限らないということです。企業によっては、「週に最低2日は出社する」などハイブリッドワークの出社日数を定めている場合もありますが、いつ出社するのかの決定を社員に委ねている場合、運が悪いと上司と部下の出社日が重ならず、結果として「せっかく出社したのに、結局今日のMTGはオンライン会議だった」というような残念な事態が発生してしまいます。
ハイブリッドワークの良さは働き方のフレキシビリティですが、Z世代の新入社員や若手社員が、上司や先輩と対面で仕事をする機会を担保したり、オンラインではなく対面での研修やメンターシップの機会を設けるなど、企業は改めてハイブリッドワークの運用方法を再構築する必要がありそうです。
3.Z世代が重視する「自分らしさ」・「多様性」を受容するチーム
Z世代の新社会人は会社への帰属意識が低いと言われますが、これは、テレワークで同僚との距離が遠く、社内での人間関係が構築できていないことも起因しています。そんななか彼らが「チームで働く経験を求めている」ことが、先にご紹介した株式会社日本能率協会マネジメントセンターの「イマドキ新入社員の仕事に対する意識調査」の結果にも示されています。
Z世代が大切にする価値感「自分らしさ」や「多様性」を認めた組織・チーム作りをすることで、Z世代の会社に対するエンゲージメントを高める要素になります。さまざまな施策が考えられますが、たとえば、チーム内にオープンでフラットなコミュニケーションの場を設けることは、非常に有効であると言われています。実は、これも「SNSを通じ、年齢・性別・職種・国籍を問わず、さまざまな考えを持った人とつながり、自分の考えを積極的に発信し、相手の考えに触れることに慣れている」というZ世代の特徴の1つに通じているのです。
まとめ
今回の記事では、企業のテレワークやハイブリッドワークのあり方を考える上で、これから新しく社会の主役となっていくZ世代の特徴をよく理解する必要があることをお伝えしました。
加えて、Z世代社員一人一人の個人としてのテレワーク適性を見ていくのも良いと思います。そのためのツールとして、イマクリエでは、社員のテレワーク環境への適応力とテレワーク下での成果創出力を測る「テレワーク適応力診断」を提供しております。