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【アメリカ発】ハイブリッドワークのベストプラクティス 4選

※本記事は2023年1月に執筆し、株式会社イマクリエの会社ホームページに掲載していた記事をnoteに移管しています。


2022年は多くの企業において、出社とテレワークを組み合わせて働くハイブリッドワークが定着した1年でした。週に2〜3日オフィスに出社し、残りの日を在宅勤務で働くスタイルが主流のようです。しかし、ハイブリッドワークが定着してきたとは言え、まだどの企業もハイブリッドワークの最適解を模索し続けているというのが実態です。

そこで今回は、テレワーク先進国のひとつアメリカでシェアされている「ハイブリッドワークのベストプラクティス」を4つ取り上げてご紹介します。

1. 【採用/オンボーディング】新入社員がぶつかる疑問とその回答を文書化し、ポータルに掲載(GitHub, Inc.)

ソフトウェア開発のプラットフォームGitHubを運営するGitHub, Inc.は、テレワークが当たり前で、どこで働いてもよい(work from anywhere)「リモートファースト企業」です。

同社では、新入社員が抱える多くの疑問に答えるため、社員から上がる質問のうち「How」で始まるすべての質問の回答を文章化して、常時アップデートされ続けるGitHubハンドブックという社内ポータルサイトに掲載しています。GitHubハンドブックには、例えば下記のような質問とそれに対する回答が文章化され掲載されています。

・How do we file an expense report?
(経費精算の報告はどのように行うか?)
・How do I get a salary raise?
(昇給はどのように行われるか?)
・How do I talk to media and get approval for that?
(メディア対応はどうすればよいか?承認はどのように得ればよいか?)

これがあれば、新入社員は何か分からないことがあったときには、すぐさまGitHubハンドブックで調べることができ、「誰に聞けばいいのか分からない」「こんなことを聞いてもよいのか分からない」というストレスを抱える必要がありません。

2.【マネジメント/コミュニケーション】週1更新で、各自の優先タスク状況を共有(Zapier Inc.)

ウェブアプリケーションを統合、自動化するワークフローを提供するZapier Inc.は、完全リモートで事業を行っており、どこで働いてもよい『work from anywhere』ポリシーを導入。世界中17のタイムゾーン、数十か国にリモートワーク社員がいます。

同社では、新入社員から役員までの全社員に対し、毎週金曜日に社内のブログに「金曜日のアップデート」を投稿することを義務付けています。

「金曜日のアップデート」には、自分の今週の優先事項のうち何を完了したのかと、来週の優先事項が何かを書きます。To Doリストを並べて完了のチェックマークを入れることが目的ではなく、最も重要なことが何かを認識し、それを成し遂げることが狙いです。大切なのは、優先事項について全員がしっかりと考える時間を持つことです。
記事が投稿されると、Slackに通知が来るよう連携しているので、それぞれが取り組んでいる業務について、毎週のサマリーをお互いに素早く報告、確認しあうことができ、透明性とコラボレーションを促進し、無駄をなくすための便利なツールになっています。

また、「金曜日のアップデート」には ”おまけ” として「仕事外」のことを記載できるセクションがあります。プライベートの記載は必須ではなく、あくまでオプションですが、プライベートの生活で起こっていることを共有したり、考えているアイデアについて共有したり、議論を提起したりすることもでき、社員同士がお互いをよく知るためのきっかけになっています。

3. 【チームビルディング】勤務日数の25%はチームが同じ場所で働き、チームビルディングに集中(Tata Consultancy Services)

ハーバード・ビジネス・スクールのPrithwiraj Choudhury准教授がTCSで行った実証実験の結果によると、ハイブリッドワークにおいて、全勤務日数の23~40%をチームと同じ場所で働くのが、高い成果を上げるための最適日数だと言います。

この25%をいつにするかは、チームメンバーの状況にあわせて柔軟に決めても効果は変わりませんでした。週に1~2日をチーム全員で出社するも良し、1か月のうち、ある1週間に5日間連続してチーム全員出社するも良し。もしチームメンバーが遠く離れた場所に住んでいるような場合は、四半期に一度全員で、より長期間同じ場所で働くセッティングをすることでも十分に機能することが分かりました。

一方で、勤務日数の25%をチームメンバーとどのように過ごすかは、ハイブリッドワークで高い成果を上げるためにとても重要なポイントになります。

チームが同じ場所で一緒に働く日には、メールを書いたり作業するなどの業務に時間を使うのではなく、チームビルディングのために当てます。

チームビルディングのためにすべきこと
・ メンバー同志の信頼関係の構築
・ 互いを理解しあうための対話
・ メンタリングを行う(先輩から後輩への助言、サポート)
・ コラボレーションワーク

この時間で互いをよく知り、深い信頼関係を構築していれば、リモートワークで物理的に離れて仕事をしているときであっても、互いに助け合い、頼りあい、連携して働くことが、よりスムーズに行われるようになります。

4.【効率】会議のない1週間で、非同期ワーク(Salesforce, Inc.)

コロナ禍にテレワークが広まって以降、在宅勤務者の勤務時間はオフィスで働いていた時よりも長くなっている傾向があります。カレンダーを見ると、会議がぎゅうぎゅう詰めで予定され、トイレ休憩の時間も、一息つく暇もない日が続いているという人もいらっしゃるのではないでしょうか?

テレワークで私たちは、参加する会議の数が増え続け、5分に一度のペースでビジネスチャットに返信しているとも言われます。過度なまでにデジタルでつながり続けている状態は、テレワークの魅力である効率性を損ない、ワークライフバランスを難しくし、ストレスを増やし、社員の疲弊につながります。

クラウドベースの顧客管理ソフトウェアを扱うSalesforce.Incでは、この状態を打破するために、ハイブリッドワークでどのように働くかについての新しい取り組みを行っています。これは「非同期で働く」というもので、「会議のない1週間」を過ごす実験を2021年から繰り返し行っています。

「会議のない1週間」が設定されると、新入社員から役員まで社員全員に、ビジネス上の緊急の問題やトレーニング、顧客との会議は例外として、その1週間はなるべく会議は行わずに仕事をすることを推奨しています。

会議の代わりをすべてチャットなどのテキストコミュニケーションで代替しようとすると、今度はそれに大量の時間を取られるという弊害が出ました。
また文章では、本当に伝えたいことやニュアンスがうまく伝わらないという他の問題が発生したため、同社では、社員同士が音声会話を簡単にできるデジタルツールを使って会話をすることで補っています。

「会議のない1週間」を実施したことによる成果の一つは、社員が「本当に60分の会議が必要なのか?」を考えて会議設定をするようになったことです。これまで行われていたブレインストーミング会議はデジタルツールを使った方法に、進捗共有のための会議は、共有ドキュメントを使ったアップデートで置き換えられました。
また社員たちは、コミュニケーションの取り方をより一層、意識的に考えるようになりました。例えば、緊急の場合には、最初の数語でその旨を伝えるようになったり、複数ではなく 1 つのメッセージに考えをまとめるようになりました。

まとめ

いかがでしたでしょうか?ハイブリッドワークでの採用・マネジメント・チームビルディング・コミュニケーションなどについてお悩みを抱えている方へのヒントになる内容だと思います。

カルチャーやテレワークの浸透度などにあわせて、ぜひ御社にぴったりあった最適なハイブリッドドワークを作っていっていただきたいと思います。

https://www.imacrea.co.jp/corporate/tw_diagnosis/

出典