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\管理職必見/世界共通の上司の悩み ~テレワーク下でのサボり管理~

※本記事は2022年12月に執筆し、株式会社イマクリエの会社ホームページに掲載していた記事をnoteに移管しています。


テレワークの時に、部下はサボっているのか?

テレワークが広く世に知られるようになり、感染症対策を目的に多くの企業で在宅勤務が始まってから、まもなく3年を迎えます。テレワークで働くことは、多くの人にとって特別なことではなく、当たり前の日常になっていると思います。

仕事とプライベートの線引きが難しいテレワークでは長時間労働になりやすいと言われ、実際に在宅勤務になってから、労働時間が増えた、参加する会議の数が増えた、仕事がより忙しくなったと訴える人は多くいます。

一方で、管理職からは「部下が仕事をサボっているのではないか」、「テレワーク時に、部下の仕事の生産性が下がっているのではないか」と心配する声が上がるのをよく耳にします。2020年春に「在宅勤務の社員を監視する方法」というインターネット検索が、1,705%も増えたという記録があるほどです。

アメリカのマイクロソフトが11か国20,000人を対象に調査を行い、2022年9月に発表したWork Trend Index Special Reportは、87%の社員は、自分がテレワーク下でも生産的に仕事をしていると考えているのに対し、85%のリーダーは、テレワークにおいて社員の仕事の生産性に懐疑的でいることを示しています。

社員とリーダー間のこの認識の乖離をマイクロソフトは「生産性パラノイア」と呼びます。パラノイアとは、現実には起きていないことを起きていると思い込んでしまう妄想症のことです。「生産性パラノイア」は、社員がどんなに仕事に時間を費やしても、目に見えなければ上司はそれを信じないという考えを言います。

部下を監視するヘリコプターボス

上空を旋回するヘリコプターのごとく、子供のそばで管理、干渉し続ける親のことを「ヘリコプターペアレント」と呼ぶように、アメリカでは、仕事で部下のことを管理、干渉し続ける上司を「ヘリコプターボス」、「ヘリコプターマネジャー」と呼びます。

2020年7月にハーバード・ビジネス・レビューが24か国1,200人以上を対象に行った調査では、5人に1人のテレワーカーが、「上司が頻繁に自分の仕事ぶりを確認しに来る」と感じていることが分かりました。

「テレワークをしているときに、トイレに立ったり、コーヒーを淹れるため離席していると、チャットの表示が離席(オフ)になっているのを見た上司が、すぐさま電話で確認してきます。」

これはさすがに少し極端な例かもしれませんが、実際にみなさんの職場で、テレワーク下でのマイクロマネジメント(細かすぎる管理)が行われていないでしょうか?

テレワーク下でのマイクロマネジメントの例
・ 部下の状況を常に把握しようとする
・ 過度なオンラインミーティングの設定
・ 数時間おきなどの短い間隔で業務報告を求める
・ すべてのEメールに上司をCCするように求める
・ 仕事の進め方を細かく指示する

社員を監視する会社

社員がテレワークの時にサボっていないか、仕事の生産性が落ちていないか、上司が目で見て確認できない状態を補完するために、企業によっては、社員のパソコンをモニタリングするソフトウエアを導入している場合もあるでしょう。

世間には実に様々な従業員監視ソフトウェアがあります。
・社員のパソコンが動作しているか確認するもの
・ウェブカメラを遠隔で起動して社員が本当に仕事をしているか
 チェックするもの
・数十分おきに、カメラでパソコンの画面をランダムに撮影し送信するもの
・ネットサーフィンやゲームなど業務に関係ないことをしていないか
 チェックするもの
・Word、Excelのほか、会社で使うソフトの利用状況をチェックするもの
・パソコンで入力された内容を保存し、業務に関係ない単語を入力して
 いないか監視するもの

コンサルティング会社Gartnerが行った調査によると、アメリカでは、新型コロナウイルスの流行が始まった最初の1か月に、16%の企業がテレワークを行う社員のノートパソコンに追跡ソフトウェアをインストールしました。その後、テレワークの拡大に伴い、2020年7月までには、26%の企業が社員の仕事を監視するソフトウェアの使用を始めています。
ウォール・ストリート・ジャーナルの記事によると、2022年7月時点では、従業員数500人以上の企業のうち約68%が、何かしらの従業員監視ソフトウェアを利用しているそうです。

マイクロマネジメントは百害あって一利なし

ヘリコプターボスは、社員がちゃんと働いているのかどうかを疑っているだけでなく、リモートで働く部下が孤独感を感じないように、上司からケアされていると感じられるように、そして何より上司として部下をサポートするためにコミュニケーションを図っているのかもしれません。

部下もまた、全員が全員、上司から気にかけてもらったり、業務指示や進捗確認を受けることを否定しているわけではないのです。テレワークで働く部下の立場からすると、上司がいま忙しくしているのかが分からず、ちょっとした質問や相談をしたいことがあっても、声をかけてよいものか、自分で解決するべきなのか悩んでしまったりするものです。

ただし、心地よいと感じられる上司の干渉度合は、部下の年齢や経験値、性格によって異なるということを覚えておく必要があるでしょう。マイクロマネジメントが発生すると、マイクロマネジメントを受ける部下のみならず、上司自身にも悪影響を及ぼし、チーム全体の生産性が下がります。

部下は、自分で考えて動く機会を奪われるため、ただ言われたとおりに作業するだけになり、本来持っている能力を発揮したり、自由な発想で仕事に取り組むことがなくなります。
中長期的に見ると、マイクロマネジメントを受けることで、部下の成長スピードも遅くなります。また、上司にサボりを疑われていると感じる場合には、必要のない会議に参加したり、無駄なメールやチャットを送ったりするなど、上司に自分が真面目に働いていることを証明するためだけのパフォーマンスを行うことがあります。

一方上司は、管理することに時間を取られすぎて、本来やるべきリーダーやマネジャーとしての仕事がおろそかになるか、オーバーワークに陥ります。

マイクロマネジメントがもたらす悪影響
・部下が疲弊する
・部下の主体性を奪う
・部下のやる気をそぐ
・部下の生産性が下がる
・上司の生産性が下がる

まとめ ~テレワークマネジメントのヒント~

テレワークが広く普及して3年近くが経った2022年現在でも、管理者はテレワーク時に業務の進捗をどうやって確認するか、部下をどうやって管理するかに頭を悩めているのは明らかです。

マイクロマネジメントは、テレワーク時に限った話ではありませんが、テレワーク下で部下の仕事ぶりを目で見ることができないとき、不信感は倍増し、なんとかコントロールしなければならないという気持ちがより強くなる傾向があります。

テレワークでは、いかに部下を信じ、仕事を任せるかがポイントになりますが、その前提として、まずは上司が、部下の業務内容およびその業務にかかる適性な時間を正しく理解・把握することが求められます。

そのうえで、部下にはテレワーク実施日の始業時と終業時に、それぞれ上司に対して、その日に行う予定の業務/行った業務と進捗状況を報告してもらうとよいでしょう。成果物の品質とともに、部下の業務量、生産性の確認を行うことで、テレワーク時に部下がきちんと仕事を行っているかをある程度、把握することができると思います。

日次の報告以外に、週1回程度の定例ミーティングを行うなどして、細かく期日を設け、その期間で何をどこまでやるのかを上司と部下間で共有することも有効です。

多くの企業では、完全テレワーク型のフルリモート勤務ではなく、出社とテレワークを組み合わせたハイブリッドワークを行っていると思いますので、テレワーク時のマネジメントをうまく行うために、出社の機会をうまく利用して、上司と部下間の信頼関係を深めたり、チームへのエンゲージメント強化を促す取り組みを行うことも重要です。

https://www.imacrea.co.jp/corporate/tw_diagnosis/

出典