地域課題への挑戦:三重県明和町で進む学生主導のビジネスプラン開発(全4回シリーズ2回目)
三重県明和町の地域課題解決ビジネスを創出する「産官学連携の起業勉強会」がいよいよスタートしました。
企業間の勉強会から学生を交えたイベントに変化。
参加企業は、明和町と関係性のある県外企業などに声を掛けたところ、快く参加してくださることになりました。
現地開催2回、オンライン開催1回の計3回で実施する勉強会。
参加者や役割は以下の通りとなりました。
参加者は学生が15名、企業が7社。
学生と企業の方がチームを組み、1チームを2名程度の学生と企業の方1名で構成して、ビジネスプランを作り上げていくことになります。
いよいよ始まった起業勉強会では、運営の想定を超える出来事が。
第1回、2回目の勉強会を中心にレポートしていきます。
学生の考えた地域課題解決ビジネスプランが企業を本気にさせる!
産学官連携による起業勉強会の大まかな流れは下記の通りです。
学生が考えたビジネスプランを元に運営が企業とのマッチングを行う
第1回勉強会で企業と学生の顔合わせを行い、学生のビジネスプランをブラッシュアップ
企業と学生によるビジネスプランのブラッシュアップ期間
第2回勉強会(オンライン)にてビジネスプランの中間発表
企業と学生によるビジネスプランのブラッシュアップ期間
第3回勉強会にて最終発表と表彰
学生が考えたビジネスプランを元に企業の方のアドバイスなどで、現実性のある内容にブラッシュアップしていくというもの。
第1回を前に学生の方には自分が考えるビジネスプランを作ってもらいました。
ビジネスプランはいきなりパワーポイントで作り上げた資料を作成するのではなく、共通の項目に文章で埋めていくという形で作成。
こうすることで、学生のパワーポイントのスキルレベルが、ビジネスプランの見え方に影響してしまうことを防げます。
企業の方がビジネスプランの内容を把握しやすいという点でも共通項目は重要。
学生が作成したビジネスプランを元に運営側で企業とのマッチングを行います。
「この案であれば、この企業の事業に活かせる」
「○○さんはこういったビジネスが好きだから、いいかも」
学生の考えと企業の事業内容を照らし合わせながら、様々なパターンを検討。
学生と企業のマッチングが重要であると考えていましたので、運営の話し合いにも熱が入ります。
そうして企業と学生のチームが決定。
学生は第1回目の勉強会を前に自身のビジネスプランを作り上げます。
地域課題解決というテーマの元、名産品を使った加工品製造や空き家や廃校の利活用など。
学生が初めて作ったビジネスプランはそれぞれの個性が見て取れて、想いを感じることができました。
企業の方へは勉強会前に学生が作ったビジネスプランを提出し事前チェックを行ってもらうことに。
そして第1回目の勉強会前日に企業の方、明和町の職員、イマクリエで懇親会を開催しました。
そこで企業の方の本気を感じる出来事が起きました。
懇親会の席で企業の方からチーム分けについて意見が。
「この学生のプランであれば、私のチームの方が良いのではないでしょうか?」
「この学生は、私よりも○○社さんの方が合うと思います。」
勉強会が始まる前から企業の方の熱量をひしひしと感じる懇親会に。
懇親会の後半は、円陣を囲む様に熱い話し合いが行われるなど、第1回目の勉強会を翌日に控えて、期待値が高まる会となりました。
学生と企業が生み出した「熱」で大いに盛り上がった第1回勉強会
2023年12月16日に三重明和インキュベーションセンターにて第1回目の「産学官連携による起業勉強会」が開催されました。
勉強会は学生、企業の方の自己紹介からスタート。
やや緊張ぎみの学生に対して、企業の方からは自己紹介の段階から本気度が見て取れました。
その後、学生に対してチーム分けを発表。
午前中は、まず明和町の特徴を知ってほしいということから学生を中心としたバスツアーを開催。
町内の主要箇所を訪れて、地域課題解決に向けたアイデアを練ってもらいました。
その後、昼食を挟んで勉強会を開始することに。
しかしここで予定外のことが発生します。
企業の方から「昼食はチームごとで食べて、会話をしませんか?」と提案が。
この提案によって、学生と企業の方によるランチミーティングが開かれることに。
昼食の段階から、学生と企業の方がコミュニケーションを取っていたことから勉強会は熱を帯びたスタートを切りました。
「このプランにはこういった展開があるんじゃないかな?」
「空き家が実際に何軒あるか、データに基づいた現状を捉えるために、正しい情報をどこから入手できるか調べてみよう」
それぞれのチームごとに熱い議論が繰り広げられていました。
企業の方がリードする形で学生のアイデアが少しずつ具現化。
熱心にアドバイスのメモを取る学生の姿が印象的でした。
そして第1回目の勉強会は最後まで熱を帯びたまま終了。
企業の方にアドバイスしてもらったおかげでいつまでに何をするかが明確になった学生が多く、この熱を第2回以降にも継続できる予感を抱かせてくれました。
第1回勉強会においてある企業の方が学生さんに送った
「熱とスピードと人の縁でビジネスはできる」
という言葉がとても印象に残っています。
年齢や立場を越えて「地域課題解決」という共通の目標に向けて開催した勉強会。
想像の何倍も熱く内容の濃いものとなりましたが、そのきっかけは企業の方の本気が学生にも伝わったからです。
今回の勉強会では、企業の方は学生にアドバイスを与える立場でもあるので、負担に感じてしまう企業の方もいたと思います。
では、企業の方々をそこまで熱くさせた理由はどこにあったのでしょうか?
運営の想定を超えた企業の「本気の姿勢」はいかにして生まれたか?
「学生との勉強会は、経営者の方々が興味をもってくださると想定していました。」
そう語るのは明和町まちづくり戦略課の冨谷尚史さん。
冨谷さんは、前年度の企業誘致戦略事業の時からお世話になっており、今回の起業勉強会の立役者でもあります。
「企業同士の勉強会は、イメージが付きにくかったのですが、学生が入ったことでピントがあった様な気がします。」
「企業の方にとっては、普段、話をすることのない学生と接することにメリットがあると思っていました。」
冨谷さんは明和町の企業誘致戦略の最前線で活動されているので、企業が何を望むかをよくご存知でした。
企業にとってのメリットは、学生とコミュニケーションを取る事で新しい気付きを得られるということ。
運営を行っていた者として、学生を交えなければ、今回の勉強会の様な熱は生まれなかったと思います。
学生相手だからこそ、企業の方も熱が生まれたのではないでしょうか
それでも企業側の熱量は「想像以上だった」と冨谷さんは語っています。
それを物語っているのは、第1回目の勉強会の感想発表の際に、ある企業の方が学生に伝えたメッセージ。
「ぜひ一緒にビジネスをやろう」
わずか数時間でここまで思わせる魅力を、まだ実際にビジネスをしたことが無い学生が持っているという事実。
驚きと共に納得している自分もいました。
「学生さんはとにかく素直。こちらが言ったことを真剣に考えてくれるし、吸収しようという姿勢が見える。大人と話していると感じることが無い新鮮さがあった」と話される企業の方も。
学生が本気で考えるビジネスプランは、まだ粗削りで決して完成度の高いものでは無かった様に思えます。
でも、だからこそ、企業の方も新鮮で魅力を感じ、真剣に向き合い、何とか良いプランにしようと思えたのではないでしょうか。
この勉強会に参加している学生の中にダイヤの原石がいるのではないか?
その思いが確信に変わったのはオンラインで開催した第2回目の勉強会でのことでした。
第2回勉強会では全員でビジネスプランをブラッシュアップ!
想定以上の熱量があった第1回目の勉強会から1ヶ月あまり。
2024年1月27日に第2回勉強会がオンラインで開催されました。
約1ヶ月の間に、企業の方と学生のチームがそれぞれビジネスプランをブラッシュアップ。
中間発表の場として第2回勉強会をオンラインで行い、全7チーム11名の学生が自身のビジネスプランをプレゼンしました。
学生のプレゼンはまさに十人十色。
緊張感の伝わるプレゼンが多かったですが、しっかりと自分の考えを伝えていました。
空き家や廃校を活用した地域資源活用のビジネスプランやバスケットボール大会で三重県を盛り上げたいといったものまで、学生の個性がよく見える発表。
学生の発表後に企業の方のフィードバックがあるのですが、ここではチームに関係なく様々なアドバイスが送られていました。
「ターゲット層は広げすぎない」や「課題が明確なのでどうアクションするかを考えて」など具体的なアドバイスもありましたし「その事業、じつは個人的にやっていて...」といったまさかのフィードバックも。
学生の発表ごとに企業の方が真剣な意見を届けていたのが印象的で、みんなで1つのアイデアを何とか良い形にしようという意識が見て取れました。
第2回目でも熱が冷めなかった勉強会。
いよいよ最終発表を控え、各チームで更なるブラッシュアップが行われていきました。
まとめ
学生だからこそ、企業が本気になった勉強会。
我々が想定していた以上に企業の方も、勉強会にメリットを感じてくれていたのではないでしょうか。
第1回、第2回の勉強会を通して未来ある学生の意見だからこそ、大人を動かせていると実感。
そして第3回目の勉強会でも、新しい展開がありました。
詳しくは次回のnoteに綴ります。
ご期待ください。
自治体担当者様からのお問い合わせはこちら↓↓↓から