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ハイブリッドワークが『女性の活躍推進』にもたらす効果とは

※本記事は2023年6月に執筆し、株式会社イマクリエの会社ホームページに掲載していた記事をnoteに移管しています。


仕事で活躍したいと希望するすべての女性が、個性や能力を発揮できる社会の実現を目指して成立した『女性活躍推進法』により、多くの企業が「女性の積極採用」・「女性管理職の割合上昇」・「女性が家庭と仕事を両立できる環境の整備」などに取り組んでいることと思います。

2023年6月には、政府が「2030年までに大企業の役員のうち、女性比率を3割にする」という新目標を発表したことで、この動きは今後ますます加速していくことになるでしょう。

今回は、女性の活躍推進に焦点を当て、オフィス勤務とリモート勤務を柔軟に組み合わせた働き方『ハイブリッドワーク』がもたらす効果についてご紹介します。

女性のキャリアアップとハイブリッドワークの関係

世界最大級のレンタルオフィススペース事業を展開している International Workplace Group(IWG)が、2023年3月に発表した「女性のハイブリッドワーク調査」では、ハイブリッドワークが女性のキャリアアップにプラスの影響を及ぼすことを示しています。

この調査は2023年2月に、アメリカでハイブリッドワークで働くフルタイムの女性正社員1,008人を対象に行われたものです。
回答者の約3分の2(67%)が、「ハイブリッドワークは、女性のキャリアアップに良い影響を与える」と答えており、同調査ではこれを裏付けるいくつかの要素を見ることができます。

ハイブリッドワークによって得られる女性のキャリアアップにつながる要素
・ 職場に「平等性」がもたらされる
・ 仕事上で「性別・人種に関するバイアス」を感じることが少なくなる
・ 「上級リーダーから自分に対する認知」が高まる
・ キャリアアップにつながる「トレーニングの機会」の獲得

また、IWGがイギリスで行った同様の調査では、回答した女性の約半数(53%)が「ハイブリッドワークにより、組織の中でより高いポジションに手をあげることができるようになった」と答えており、組織における女性の昇進を語る際に、よく課題としてあげられる「ガラスの天井」を打ち破るのに、ハイブリッドワークが有効であると見ることができます。

職場における平等性の向上

ハイブリッドワークによって、職場における男女間の平等性が向上しているという要素を確認するため、コンサルティングファームのデロイトが発表した「Women @ Work 2023:世界的な展望」を見てみましょう。

これによると、ハイブリッドワークで働く女性は、会議や意思決定に参加する機会が増えていると述べており、職場において重要な会話から取り残されていると感じている女性は37%にとどまっています。また、ハイブリッドワーク下で、70%の女性はハイブリッドワークでリーダーとの接点を十分に持てていると感じていることも見逃せません。仕事上でリーダーと直接関わる機会があるということは、成果や能力をリーダーに認識してもらう機会になることに加えて、事業における重要な情報を知る機会になったり、単純に仕事に対するモチベーションアップや組織へのコミットメントを高めることにもつながります。

ジェンダー・バイアスの軽減

クラウド型の人事管理ソフトウエア会社 Workhumanが、アメリカで男女それぞれ500人ずつの合計1,000人を対象に調査を行い、2023年3月に発表した「ヒューマン・ワーク・インデックス調査」では、女性の約半数(46%)が職場でジェンダー・バイアスを経験していると答えています。

「ジェンダー・バイアス」とは・・・
男女の役割について固定概念を持つことを言います。

職場におけるジェンダー・バイアスの例~
■ 性別的役割分担
(例:育児休暇や時短勤務は、女性のための制度である)
「育児は女性がするものだ」という固定概念(ジェンダー・バイアス)により、もっと働きたい女性だけでなく、育児に積極的に関わりたい男性をも苦しめることになる

■ 機会の不平等
(例:女性に海外赴任は打診しない)
「女性に無理はさせられない」といった無意識な思い込み(ジェンダー・バイアス)で仕事を割り振っていて、女性が機会を失うことになっている

先にご紹介したIWGの調査では、回答者の約3分の2(66%)にあたる女性が「ハイブリッドワークによって、仕事上で性別・人種などに関するバイアスを感じることが少なくなった」と答えており、ハイブリッドワークで働く女性は、ジェンダーバイアスによる機会損失や、能力に見合わない仕事の押しつけにさらされることが減っていると言えます。この結果、能力に見合った成長を遂げ、キャリアアップすることが可能になります。

仕事と家庭との両立

ハイブリッドワークでは通勤にかかる時間を短縮できるため、毎日オフィスに出勤する場合に比べて、子供や家族と過ごす時間が増え、余裕をもって家事や育児をすることができることが大きなメリットです。

女性は、自分が子育てなどのプライベートにおける重要な責任をきちんと果たせることが分かっている状態になると、仕事上の生産性が高まることが分かっています。

また、昨今、出生率が下がり続けていたアメリカで、2021年は7年ぶりに出生率が上昇しました。これについて、Economic Innovation Groupが18歳~44歳のアメリカ人女性労働者3,000人を対象に行った調査を元に発表した仮説では、リモートワークにより時間的な余裕が生まれ、ワークライフバランスが取りやすくなったことで、結婚や出産といった女性の家族計画にプラスの影響を与えている可能性があることを示しています。

完全リモートワークあるいはハイブリッドワークで働く女性のうち
・ 特に、高学歴かつ高所得の女性の出生率が、コロナ禍で上昇した
・ 35歳以上(特に39歳以上)の女性の出生率が上昇した

この傾向はアメリカに限った話ではなく、その他の先進国の出生率にも同様の影響を与えるだろうと推察されています。

この調査結果は、異次元の少子化対策を目指し、企業に対して3歳までの子供を育てている社員への在宅勤務環境の整備を推し進める日本でも参考になる内容だと思います。

まとめ

いかがでしたでしょうか?今回の記事が、女性が活躍する企業や社会のあり方を考える上で、テレワークやハイブリッドワークをどのように活かしていくかを考える機会になれば幸いです。

テレワークを活かして女性が多数活躍するイマクリエは、今後も女性の活躍推進に寄与するテレワークのあり方について、国内外の様々な情報を発信していきます。ご期待ください。

https://www.imacrea.co.jp/corporate/tw_diagnosis/

出典