企業誘致のカギ!企業目線を持った自治体になれ!
こんにちは。地方創生のエキスパート、イマクリエ代表取締役の鈴木です。
Amazon売上ランキングでベストセラー第1位を獲得した私の著書『日本一わかりやすい地方創生の教科書』に取り上げたテーマを分かりやすく解説する記事をシリーズでお届けします。
今回の記事では、自治体が企業誘致を行う際に、忘れてはいけない最も重要なことについてお伝えします。
結論から言います
今回は、ずばり結論から言います。企業誘致を成功させるための重要ポイントは「お客様を知る努力をしていますか?」ということです。
「企業誘致」と「地方進出」
「企業誘致」という言葉は、企業を地域に招く側の自治体が使う言葉です。一方、地方にオフィスや工場を進出させようとする企業側からすると、それは「地方進出」になります。「誘致」と「進出」は、ひとつの事象を、「表」と「裏」から見た言葉ではありますが、その間には、大きな意味の違いがあります。
自治体側の目線
そもそも自治体が企業を「誘致」しようという背景には地域における雇用を生み出すこと、関係人口を増やすこと、イノベーションが起こることなどを目的にしているところがあります。
そのうえで、地域が持っているさまざまな「魅力」をホームページやパンフレットで企業に伝えようとします。そこには「大自然に抱かれて」とか「空気や水が美味しい」といった表現がしばしば見られます。ですがこれらは、本当にそれを求めている企業以外にとっては、響かないキャッチコピーです。
それらは、誘致する側である自治体の視点から見た魅力であり、地方に進出しようとしている企業の心を揺さぶるものにはなりません。
また自治体が用意した進出企業への助成制度なども、他の条件がすべてそろったうえで、あったらなお良しですが、多くの場合、進出企業が進出先を検討する上での最初の条件にはなりません。
企業側の目線
企業誘致を進める上で、自治体が忘れてはいけないポイントとして、その地域に進出することで、企業はどういう課題を解決できるのか、その地方に進出する目的は何かをしっかりと把握、理解する必要があります。
具体的な例を挙げるとすれば、事業を拡大していくうえで必要な人材を確保する、新規顧客を獲得し商圏を拡大するなどの目的やBCP対策として事業の拠点を分散させていきたいといった狙いなどもあります。
自治体は、企業が地方進出を通じて成し遂げたいことと、それに伴うニーズを理解したうえで、それにどう答えるのかが重要になります。うちの地域でしかできないというレベルまで作りこむことができれば最高です。
成功の定義
もう一つ、「自治体の目線」と「企業の目線」がズレやすい点として「成功」の定義があります。自治体は、地域のさまざまな魅力を伝えて、なんとか企業に来てもらおうとします。企業が来てくれたら、「誘致は成功」だからです。
しかし企業の側からすると、自治体の言う魅力や補助金制度を聞いて、そのエリアに進出したとしても、それで終わりではありません。
そこから事業を開始して、「利益」を出してはじめて「成功」なのです。もっと言えば、何年も続けて利益を出して、持続可能な経営スタイルにならないと本当の成功とは言えません。企業が地方進出の「成功」を判断するには、一定の期間が必要となります。せっかく地方に進出したのに、数年で撤退という話をよく耳にします。
こうした話からも、自治体は、企業の目線で見た「成功」を一緒に目指していくという気持ちで企業誘致に取り組んでいく必要があるということを忘れないで欲しいと思います。
まとめ
今回は、「自治体が企業誘致を行う際に、忘れてはいけない最も重要なこと」ついて、お話しました。
この記事を通じて、地方創生に興味を持っていただけた方には、東洋経済新報社から発売した私の著書『日本一わかりやすい地方創生の教科書』を手に取っていただきたいと思います。
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今後も皆さんが地方創生について学び、実践できるような情報をお届けしていきます。次回の記事をお楽しみに!